インスパイアソングについて以前のブログで書きました。2021年1月29日公開の映画『花束みたいな恋をした』のインスパイアソングとして脚光を浴びたAwesome City Club「勿忘(わすれな)」を皮切りに、インスパイアソングと呼ばれる楽曲が増えてきました。今回は、2022年以降のインスパイアソングについて解説します。
2021年はインスパイアソング元年とも言える年
Awesome City Club「勿忘(わすれな)」以降、2021年にリリースされた代表的なインスパイアソングを見ていきましょう。
・2021年1月 Awesome City Club『勿忘(わすれな)』
映画『花束みたいな恋をした』のインスパイアソング。
・2021年10月 SHE’S『Chained』
映画『そして、バトンが渡された』のインスパイアソング
・2021年12月 MY FIRST STORY『PARADOX』
映画『マトリックス レザレクションズ』の日本版インスパイアソング
2021年は、映画作品にインスパイアされた曲のリリースが多いことがわかります。そして、2022年以降、インスパイアソングとしてリリースされる楽曲の数も増えていきます。
2022年はインスパイアソングが豊富。映画以外からインスパイアされた楽曲も
2022年にリリースされた代表的なインスパイアソングは以下の通りです。
・2022年2月 桐谷健太 『遣(や)らずの雨と、光』
映画『ミラクルシティコザ』のインスパイアソング
・2022年4月 Little Glee Monster『WONDERLAND』
高島屋「デザイン・ダイアローグ メゾン・エ・オブジェ・パリ展」のインスパイアソング
・2022年4月 MAN WITH A MISSION『Rain』
映画「劇場版ラジエーションハウス」のインスパイアソング
・2022年7月 Penthouse『雨宿り』
漫画「私がヒモを飼うなんて」のインスパイアソング
・2022年8月 SKY-HI『Fly Without Wings』
映画「ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ」のインスパイアソング
・2022年8月 岡村聡士『いちやてぃん』
映画『島守の塔』のインスパイアソング
・2022年10月 1 PICTURE 1 STORY『アンリアルサイド(feat.すこっぷ/佐藤ノア)』
モモコグミカンパニー(BiSH)の超短編小説(「1 PICTURE 1 STORY」連載作品)のインスパイアソング
・2022年11月 Awesome City Club『ユメ ユメ ユメ』
ドラマ『モダンラブ・東京』のインスパイアソング
※主題歌「Setting Sail ~モダンラブ・東京~」とは別に制作。エピソード7のアニメーション作品『彼が奏でるふたりの調べ』にインスパイアされて作られた楽曲
2021年、インスパイアソング元年の流れを受けて、2022年にもインスパイアソングが盛り上がりを見せているのがわかります。さらに、2022年のインスパイアソングは、映画のみならず、漫画や美術展など、さまざまなジャンルから影響を受けて制作されていることも特徴といえそうです。
2021年に始動「1 PICTURE 1 STORY」プロジェクト
2022年のインスパイアソングの中でも特筆すべきは「1 PICTURE 1 STORY」。「1 PICTURE 1 STORY」はファッション誌「bis」の連載企画で絵先から物語や音楽を創出するプロジェクトです。これが始まったのも2021年。ちょうどインスパイアソングが注目を浴びた時期と重なります。「別のジャンルの芸術作品に影響を受けて楽曲を制作する」ということ自体に注目が集まっているのかもしれませんね。
いわば「インスパイアドラマ」。Netflixの『First Love 初恋』
2022年11月から、Netflixドラマ『First Love 初恋』が配信されています。これは、宇多田ヒカルの名曲『First Love』からインスパイアされた男女の20年余りにわたる愛の物語を描いたドラマ。いわば、楽曲に影響を受けて制作されたドラマ、いわゆる「インスパイアソング」ではなく、「インスパイアドラマ」とも呼べそうです。このように、楽曲のみならず、さまざまなジャンルで「インスパイアする」ことが増えていっているように思います。
2023年も、インスパイアソングは続々とリリースされています。“ビジュアルからインスパイアされた曲を作る”をコンセプトにした、アマアラシと千鎖による男女混声ユニット・ミセカイは、mocha(モカ)のイラストにインスパイアされた楽曲『Ever』をリリース。また、monogatary.comではキタニタツヤ「ちはる feat. n-buna from ヨルシカ / THE FIRST TAKE」のミュージックビデオや歌詞をもとにした「春が舞台の物語」を募集するなど、インスパイアソングのみならず「作品にインスパイアされて別の作品を作る」という流れができつつあります。今後もさまざまなジャンルで「インスパイア系作品」が増えていくのではないでしょうか。今後の動きに注目です。
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