リニアフェイズって何だろう?
最近のDAWにはリニアフェイズという名前のついたプラグインが搭載されていることが多くなりました。
SONARでも上位バージョンの「PLATINUM」と「PROFESSIONAL」にはリニアフェイズイコライザー(LPEQ)、リニアフェイズマルチバンドコンプ(LPMB)というリニアフェイズという名前のついたプラグインが搭載されています。
リニアフェイズイコライザー(LPEQ)
リニアフェイズマルチバンドコンプ(LPMB)
リニアフェイズという言葉が出てきましたがこれは何かというと
リニアフェイズ・・・・周波数に対する位相特性が直線で変化すること
ん~これだとちょっと分かりずらいですよね。
そこで今回はリニアフェイズイコライザーを例にとって、通常のイコライザーと何が違うのかを実際に見ていってみましょう。
通常のイコライザーとリニアフェイズイコライザーの違い
通常のイコライザーですとイコライザー処理したEQポイントと呼ばれる周辺の音が少し早くなったり遅れたりします。
これを位相のずれといいます。
位相とは音の波がどの位置から始まるかを表した値になります。
EQポイント周辺の音とその他の音の位相がずれることによって音の波が打ち消し合って音が小さくなったり、強調し合って音が大きくなったりと変化が生じます。
結果、EQポイント周辺の音がこもった感じになってしまったりします。
この位相のずれをおこさないように設計されたものがリニアフェイズイコライザーなのです!
つまりリニアフェイズとは簡単に言うと位相のずれを起こさないようにしてくれるものと覚えておいてもらえればいいと思います。
こう読むと通常のイコライザーは性能が悪いから使うのをやめようかなと思ってしまいますね。ですが通常のイコライザーで起こる位相のずれも、そのイコライザーがもつクセというか味付けのようにとらえていただければいいと思います。
各トラックにインサートして音作りをしていく時にはこのイコライザーがもつクセも音作りの1つになります。
逆にリニアフェイズイコライザーのデメリットは・・・
通常のイコライザーと比べるとエフェクトのかかりが遅かったりします。これはパーカッシブな楽器(ドラムなど)に使うことでアタック感が弱くなってしまいます。
後はプラグインが重いということでしょうか。パソコンへの負荷を考えると遅延の原因にもなるので複数立ち上げることは避けたいですね。
リニアフェイズイコライザーのメリットはマスタリング時の2Mixデータに使うことで音のバランスを崩すことなく調整ができるということだと思います。
このように使う用途によって通常のイコライザーと使い分けていくのがいいでしょう。
上記と同様にリニアフェイズマルチバンドコンプ(LPMB)もコンプレッションした時の位相のずれを起こさないようにしてくれるマルチバンドコンプになります。
これもリニアフェイズイコライザーと同じくマスタリングの時などに使うことで音質を崩すことなく調整することが可能になります。