音圧上げていますか?
作った楽曲を大きな音で聴いてもらうために音圧上げは重要な作業の1つです。
不思議なことに人間は音がおおきな楽曲をいい楽曲と感じてしまうそうです。
そのため、いかにして音圧を稼ぐかが作り手の腕のみせどころとなっていました。
過去記事も参照ください
ですが、ここに来て少々流れが変わるかもしれないようになりました。
それは動画サイトのYoutubeがラウドネス規格を導入したからです。
ラウドネス規格とは、ざっくり言うと音の大きさの上限を決めてしまうといったものです。
ではなぜそんなことをするのか?
実際にYoutubeに投稿された動画の音量は小さいものから、大きなものまでまちまちですよね。
これは動画を見る側からしてみると、動画ごとにユーザーが音量を調節しなくてはならずとても面倒です。
だったら上限を決めてそれ以上の音量のものは、その上限までの音量に自動で下げてしまえばいいというのが今回のラウドネス規格の仕組みになります。これをラウドネスノーマライぜージョンといいます。
Youtube側が大きい音の動画を自動的に小さな音にしてくれるので聞き手としては音量調整のわずらわしさから開放されるので楽ですよね。
実際にYoutubeは公表はしていませんが、音量をはかるラウドネス値を-13LUFSくらいに設定して、それ以上のものはラウドネスノーマライゼーションをかけているのではと考えられています。
これは実際にテレビなどではもうすでに導入されている規格だったりします。
聞き手にとっては便利な規格ですが、作り手にとっては、ちょっと考えさせられる規格だったりします。
それは今まで一生懸命に上げてきた音圧が意味をなさなくなってしまうからです。
それどころが、音圧を上げた楽曲の方が下手をしたらしょぼくなってしまいます。
実は音圧は上げれば音が大きくなっていいことずくし!・・・というものではありません。
音圧を上げる代償として、楽曲の中にある音の抑揚(アーティキュレーション)を抑えているんです。
それもそのはずです。
小さい音も大きくしているということは、すべての音の大きさが揃う、つまり音楽に大切な音の強弱、抑揚がなくなるのです。
これまでは、その抑揚をある程度捨ててでも音圧を上げるメリットが大きかったのでみんな一生懸命に音圧アップしていました。
ですが、どうでしょう。
これからは下手に音圧を上げ過ぎるとかえってしょぼくなってしまいます。
ずっと続いてきた音圧戦争が終わるのかもしれない流れです。
Youtubeだから関係ない・・・と言いたいところですが、音楽配信のサービスなどでもラウドネス規格を導入する流れが出てきています。
ラウドネス規格が導入されていけば音楽の作り方も変わってくる可能性があります。
もしかしたら、これからは過度な音圧上げがなかった時代の音楽にもどっていくのかもしれませんね。