作詞

令和に聞いたらドキッとする⁉時代を反映する歌詞

この歌詞に何を感じますか?

オトマナビ講師の昆真由美です。

こんな歌詞ではじまる歌があります。

「例えば才能とてもある 二人を見くらべよう 片方はまあまあ ひとりはグー どっちが雇われる」

これは1996年にリリースされたPUFFY「とくするからだ」の歌い出し。この歌詞に、少しドキッとした人も少なくないのではないでしょうか。ルッキズム(外見にもとづく差別)への批判の声が大きい昨今では、炎上しかねないフレーズとも言えそうです。

しかしこの後に出てくるフレーズは以下の通り。

「キビしい そしてややこしい 平成を生き残れるのは 見た目も ちょっとステキな 働き者」。

出典:PUFFY『とくするからだ』

つまりこれは平成の時代を切り取った歌。令和の時代にリリースされたとなると、受け取る人の印象は違ってきたかもしれませんが、平成の時代を反映させた歌となれば、批判の対象にはならず、むしろこういう時代があったのだということを教えてくれる歌であるとも言えるでしょう。

歌詞は時代を反映する

歌詞、とくにJ-POPの歌詞には時代を反映するという一面があります。歌詞を書くときには、その言葉やアイテム、考え方が、今の時代に合っているかを意識することが大切です。
時代を反映する歌詞の例を見ていきましょう。

たとえば1993年にリリースされた国武万里さんの「ポケベルが鳴らなくて」という曲があります。
当時、なんと50万枚を超える大ヒットを記録しました。ポケベル(ポケットベル)は1980年代後半から90年代前半にかけて流行したコミュニケーションツール。その後コミュニケーションツールの中心は携帯電話やPHSに変わっていきました。

また、2008年にリリースされたいきものがかり「message」には
「鳴り始めたケータイのサブディスプレイに光るのは君の名前」というフレーズがあります。
携帯電話を利用していた世代は、「懐かしい!」と感じるかもしれませんね。
このように、歌詞の中に登場するアイテムがその時代を反映するということがあります。

絶妙なことば選びでロングヒットした曲

2007年にリリースされたYUI「CHE.R.RY」。
サビ終わりの「指先で送るキミへのメッセージ」というフレーズは時代を超えて愛されています。この曲はau「LISMO」のCMソングに起用された楽曲で、当時、まだスマートフォンがなく携帯電話(ガラケー)の時代に書かれたもの。「携帯電話」などの言葉を使わず、「指先で送る」「メッセージ」という表現を使ったことにより、主要なコミュニケーションツールがスマートフォンに移った現代でも共感できる歌詞となっています。この絶妙な言葉選びがロングヒットにつながっているとも言えそうです。

時代を切り取るのか、ロングヒットを狙うのかを意識しよう

その時代特有の言葉を使うと、時代を反映する半面、時代が変わると古く感じてしまったり、共感を得にくいという面もあります。ロングヒットを狙うのであれば、普遍的な言葉を使った方が良い場合もあります。
時代の一瞬を切り取るのか、ロングヒットを狙うのか、ということを意識しながら歌詞を書いてみることも大切です。

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