音楽理論

ORIGINAL LOVE 接吻 -kiss- コード進行の分析

オトマナビ講師の侘美(タクミ)です。
オリジナルラブの「接吻」のコード進行について質問いただきましたので、ここでアナライズしてみます。

 

ポイントをいくつかまとめます

・キーは、なかなか確定しにくいですが「G Major(ト長調)」、なぜかGメジャー(GM7)のトニックコードが一度も出現しないからです。
ただし、イントロ2小節のあとサビ頭ですが、直前の紛れもなくドミナントD7と考えると、G Majorと考えるのがよいでしょう。

・C#7-5は、IVM7に向かうセカンダリードミナントのサブスティテュートドミナント、いわゆる裏コードです。
ベースラインがD→C#→C→Bと半音下降になるのに対して、メロディーが徐々にピークに向かって上がっていく、つまりメロとベースで、おおきな反行を構成しています。

・セカンダリードミナントが数多く使われているので、調性があいまいで複雑になる傾向がありますが、II-Vを絡めてスムーズに連結させています。

・ドミナント機能をもった〔サブドミナント・コードonドミナントルート〕のコードタイプ、いわゆるsus4系ドミナントの多用で、トライトーンを避けた響きでポップさを演出しています。

もうひとつ踏み込んだ解釈で、絶対的なものではないですが、

例えば、サビになる「Baug7」や「C#7-5」などの変化和音ですが、これは「G音」をペダルポイントとして8小節間引き伸ばした結果の変化和音と考えることもできそうです。
もちろん「G音」はトニックで、一本調性の軸を通した形。
つまり、裏コードやセカンダリードミナントであっても、和音内の一部を変位させることで、よりトーナリティーG Majorに響きを近づけていると言ってもよいでしょう。

間奏やAメロにみられるCm(M7)は、いわゆるサブドミナントマイナーです。つまりG minorのIVmです。
Gマイナーのダイアトニックで考えると、IVm7のCm7となるはずなので、このコードだけを見ると、なにか特異な感じです。

しかし、この4小節間にペダルポイント「B音」として軸を通した考えると、その結果とも考えられるかもしれません。
実際に、間奏ではコーラス、Aメロではメロディーが「B音」を続けていることでもわかります。

C minorのハーモニックマイナーあるいはメロディックマイナースケールで考えれば、トニックはCmM7となることからもよりマイナー感が強く感じられる響きであることがわかるでしょう。

あくまでも、これはひとつの見方です、御参考までに。