音楽ソフト老舗メーカーのインターネット社が開発している国産のDAW
ABILITY 2.0 Pro
ABILITY 2.0 Elements
の2つのバージョンが用意されています。価格はどちらもオープンプライスです。
ABILITY2.0で追加された新機能を紹介します。まずはDAWのオーディオエンジンに64ビットネイティブ対応オーディオエンジンが搭載されました。さらに各MIDIトラックにステップシーケンサーが標準で装備され、ソフト音源にはfxpansion BFD Eco[Pro]、UVI Grand Piano Model D[Pro]が追加されました。これはどちらもABILITY2.0 Proのバージョンのみになります。さらにフリーズ機能の追加、ボーカルエディタにビブラート機能追加、ビートエディタにクォンタイズ機能追加、VSTラック[Pro]、シャッフルモード、自動バックアップ機能、各種プラグインエフェクトの追加などなどと盛りだくさんです。
何やらいろいろな機能がついたすごいソフトのようですが、そもそもABILITYって最近聞くようになったけれども、いったいどんなソフト?という方にABILITYについてちょこっとご紹介したいと思います。
まずDTMを長くやられている方は、インターネット社というとSinger Song Writerシリーズを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
実はこのABILITYはSinger Song Writerシリーズの後継にあたるソフトウェアなんです。
Singer Song Writerシリーズには鼻歌機能やオートアレンジ機能など他のDAWにはない機能が沢山搭載されていました。
入力して曲を組み立てていくだけのDAWとは違って、メロディにつけるコードを判定してくれたり、いろいろなアレンジの提案をしてくれるなど、楽曲を制作していく過程でいろいろお手伝いをしてくれるDAW、それがSinger Song Writerシリーズです。
ただこれらの機能がMIDIに特化したものであったために、Singer Song WriterはMIDI入力用のシーケンスソフトというイメージを持たれている方が多かったかもしれません。実際にはSinger Song Writerもバージョンを重ねるごとにオーディオ部分が強化されていき、最終バージョンのSinger Song Writer10のころにはオーディオ機能は他のDAWと比べても遜色のないものにはなっていました。
そんなMIDIシーケンスソフトというイメージを払拭する意味も含めてオーディオ処理のコアとなるエンジンを新しく設計しなおしMIDI、オーディオどちらにも強いソフトとして生まれ変わったのがABILITYです。インターネット社さんの創立25周年の翌年にABILITYが発表されたこともメーカーさんのこのソフトへの思い入れを感じます。
そして今回発売されたABILITY2.0はABILITYになって初のメジャーアップグレードになります。もともと強化されていたオーディオ周りですが、今回はさらにパワーアップしました。64ビットネイティブ対応オーディオエンジン、これはオーディオ処理が入口から出口まで64bit浮動小数点処理で行われるそうです。最近のDAWでは32bit浮動小数点処理が主流ですがその音質を遥かに上回る64bit浮動小数点処理です。筆者が実際にABILITY2.0を使った感想がまず、あれっABILITYってこんなに音がよかった!?という驚きでした。この音質は一度使ってみて体験してほしいと思います。
さらにABILITY2.0には強力なプラグインシンセやプラグインエフェクトも追加されています。特にABILITY2.0 Proに搭載された、ドラム音源として定番のfxpansion BFD Eco、Steinway Concert Grand Model Dのバーチャルピアノ音源であるUVI Grand Piano Model Dは単体で購入すると合わせて3万円弱くらいになるので、かなりお得感があります。もちろん音もすばらしくいい音しています。ABILITY2.0のオートアレンジ機能で作った曲のドラムとピアノ部分をこの音源に変えるだけでそうとうクオリティが上がるのではないでしょうか。
Singer Song Writer時代から受け継がれてきたMIDIのアレンジ機能と、最新のオーディオシステムの融合したDAW、それがABILITY2.0です。